納骨堂と永代供養どちらを選ぶ?メリット・デメリットを比較
お墓と納骨堂の違いや永代供養の意味をよくわかっていない人は多いのではないでしょうか。お墓や納骨堂は遺骨や位牌を収める形の違いで、永代供養は契約形態のことです。そうはいってもいまいちピンとこないでしょう。そこで今回は、とくに誤解されがちな納骨堂と永代供養の2つの違いがわかるよう、メリットとデメリットに分けて解説します。
納骨堂のメリット
納骨堂は屋内施設がほとんどで、多くの骨壺が同じ建物内に収められているのが特徴です。永代供養付きの納骨堂もあり、近年注目されているお墓のスタイルでもあります。納骨堂のメリットは主に以下の4点です。
■一般的なお墓と比べると費用を抑えられる
御影石などの墓石で立てられる一般的なお墓よりも費用を抑えられます。一般的なお墓の相場は180万円から300万円前後ですが、納骨堂では10万円から100万円程度、仏壇などに質のよい素材を選ぶと200万円程度です。タイプや利用年数、収蔵数によっても料金は変わりますが、一般的なお墓と比べると費用が抑えられることがわかります。
■管理不要でお参りが気軽にできる
一般的なお墓は屋外にあるため、雑草が生えたり墓石に砂や鳥のふんなどの汚れがついてしまったりします。墓掃除用の水道が墓地内に複数あれば楽かもしれませんが、1か所であれば何リットルか水を用意して運ぶのはつらいものです。
その点、納骨堂は屋外なので汚れる心配もなく、施設がきちんと管理をしてくれるので参拝が楽になります。とくに高齢になってくると移動するだけでもかなり体力を使うので、管理が不要という点はかなりプラスになるはずです。
■骨壺も預けられる
お墓の中に骨壺を収めるように、納骨堂にも遺骨が収められます。仏壇型やロッカー型では位牌も入れられるので、仏壇がない人にもおすすめです。
■アクセスがよい場所にある場合が多い
民間団体が運営する場合、比較的アクセスがよい場所であることが多い傾向があります。とくに都市部を中心に増加している「自動搬送型(マンション型)」の納骨堂は駅から近い場所にあることが多いです。足腰が悪くなったり自動車が運転できなくなったりした場合も想定すると、公共交通機関で通えるのであれば参拝できなくなるのではという不安もなくなります。
納骨堂のデメリット
■自由にお供え物ができない
納骨堂は屋内施設が多いため、供え物に制限があることがほとんどです。火気厳禁なのでたばこのお供えはもってのほかでしょう。食べ物や花など、最終的には処分しなければならないものもお供えできないケースがほとんどです。個別のスペースで線香をあげられないこともありますが、共同スペースに焼香台があることもあります。
■建物の老朽化や経営困難などの対策が取れない
お墓は古くなれば別の場所に移し、きれいな墓石で新しく立てることもできます。しかし、納骨堂の建物はほとんどがそのままでしょう。契約後から何十年も預けていれば当然建物の老朽化も始まります。建築当初は耐震性が強くても、経年劣化によって耐震性は低くなるのです。
また施設が経営困難になる可能性もあります。これらは防ぎようがないので、契約前に経営が安定しているかどうかや建物の管理をしっかりと行っているか確認するとよいでしょう。
永代供養のメリット
永代供養とは長い年月にわたり供養を行うことであり、永遠に供養をしてくれるという意味ではありません。無期限で供養している納骨堂もありますが、33回忌や50回忌と期間が設けられているケースが一般的です。利用期間が終われば自動的に合祀されます。
■長い年月にわたり管理を任せられる
一度利用料を支払えば寺院や施設に任せられます。親の世代で支払いを終えれば子世代が支払う必要がなくなり、今後参拝するであろう子どもたちの負担も減らせます。後継がいない人に需要が多く、埋葬された後も確実に供養される点がメリットです。
■承継墓よりも割安
納骨堂のタイプによっても変わりますが、承継墓と比べれば割安です。相場は納骨堂のメリットで解説した「一般的なお墓と比べると費用を抑えられる」を参考にしてみてください。
永代供養のデメリット
■合祀されると個別で遺骨を取り出せない
利用期間が終わって更新しなければ自動的に合祀されます。合祀されるとほかの遺骨とともに一か所で供養されるので、後から個別に取り出すことができません。合祀を希望しないのであれば、更新月をきちんと確認して手続きをしましょう。
■何代も続けばお墓よりも割高になる
納骨堂の使用が何代にもわたって続けば更新費用が掛かるので、タイプによっては承継墓を購入したほうが割安になっていたというケースもあります。収蔵数によっても金額が変わるので、今後どれくらいの数が収蔵されることになるのか予想しておくことも重要です。
まとめ
納骨堂と永代供養の違いを、それぞれのメリット・デメリットと共に解説しました。ただし、人によってはデメリットがメリットへと転じる場合もあります。どのような要素が自分にとってプラスになるのかを考え、最善が選べるよう準備しておくことをおすすめします。