納骨堂は従来のお墓とどう違う?樹木葬や永代供養墓とも比較
突然の不幸に際し、残された人が解決しなければならない問題は山のようにあります。お通夜、告別式のあとは四十九日、そして納骨です。大切な人に安らかな眠りを提供するにはどうしたらよいのでしょう?住宅事情が切迫している昨今、お墓問題も切実です。宗派による制限も気になりますよね。現代では納骨堂という選択肢があります。
納骨堂と従来のお墓との違い
納骨堂とは建物の中に遺骨を収蔵する施設であり、新しい家族形態に合った供養の方法として注目されています。お墓は大きく分けると4つに分類されます。一般墓、永代供養墓、樹木葬、そして納骨堂の4つです。納骨堂は元来寺院などで一時的に遺骨を預ける「預骨」の施設でした。
預骨はお墓に納めるまでの管理場所でしたが、今ではお墓の代わりになるものとして納骨堂が利用されています。都会の墓地は購入費用がかさみ、地方に墓地を求めると、遠方のためお墓参りに行きづらい、手入れが充分できないといった不便さがあります。したがって、地方に住まいを持たない人にとって納骨堂は福音となっているようです。
納骨堂のメリット
納骨堂のメリットは第一にリーズナブルであるということ。駅近が多く、お参りに便利です。集合施設のため、お墓掃除や管理に手間がかかりません。季節によっては屋外のお墓参りは身体的負担となります。八月のお盆にお墓参りをしていて熱中症の症状が出た、という話も最近はよく耳にします。納骨堂ならば空調の効いた静かな場所で、ゆっくりとお参りができるので安心です。将来お墓を継承する人がいなくなった場合、墓石だと所在がわからなくなってしまいますが、納骨堂では利用期間満了後、合祀墓へ移し、永代供養してもらうことが可能です。
納骨堂のデメリット
納骨堂のデメリットは納めるスペースに限りがあるという点です。遺骨が多過ぎるとスペースに納まりきらない場合もあるのです。また基本的に納骨堂ではお線香がつけられません。火災の発生に配慮し、電子式のロウソクなどが使用されます。収納された遺骨は最終的に合祀されるので、それ以降に別の墓所に移すことはできません。
一般墓のメリット
従来のお墓、一般墓は墓地や霊園に一定の区画を購入し、墓石を建て遺族はお墓参りに出かけて、故人を供養します。亡くなった人を土に還すことにこだわるならば、一般墓は最適な供養の仕方です。菩提寺のある家では住職の方に手厚い供養を依頼できますし、長いお付き合いが可能となるでしょう。先祖代々のお墓があれば、納骨時の費用は法事と供養料、管理料の負担だけで済みます。
一般墓のデメリット
一般墓のデメリットはやはり高額であること。先祖代々のお墓でなく、自分でお墓を建てる場合、墓石購入費は全国平均で157万円という調査結果が出ています。この他に墓地取得費用がかかり、永代使用料、管理料を支払います。一般墓の管理にはとても手間がかかり、いくら故人のためといっても、掃除、草むしり、修繕など行き届かない点が多々発生します。お墓が遠方にある場合はさらに手間がかかり、供養のために通う交通費も必要となってきます。一般墓は後々誰かが継承しなくてはなりません。核家族化が進み、人口が都市に集中する中、従来の一般墓を求めると、難しい問題を永続的に抱えることとなってしまいます。
納骨堂と永代供養墓との違い
永代供養墓は最終的には納骨堂と似たものと考えられます。他人の遺骨と合祀し、一緒に供養するのが永代供養墓です。個人での管理、補修の必要がありません。永代供養料を支払うことで、寺院や霊園管理者が管理してくれます。生前申し込みができるので、お墓を継承する人がいない、遺族に管理の負担をさせたくないという人に適しています。管理者を立てる必要がないので、個人の墓所とはなりえません。残された遺族で、個人的に供養を継続したいと考える人には不向きです。
納骨堂はたくさんの遺骨と一緒に祀られますが、個々のスペースは確保されており、利用期間の続く限り遺族が供養を継承していくことができます。利用期間が満了すれば永代供養墓と同様に合祀されます。
納骨堂と樹木葬との違い
最近では樹木葬の広告をよく目にするようになりました。樹木葬は墓石の代わりに1本の苗木を植え成長を見守るものや、シンボルとなる樹木を植えるものなど、さまざまな形態があります。ペットと一緒に眠れる樹木葬もあり、動物愛好家に人気を呼んでいるようです。墓石よりもお得な値段で購入でき、手入れや管理も一般墓に比べると楽な点が人気の理由でしょう。故人の趣味を活かしたオプションも多く用意されています。
新しく人気の高い埋葬法なので、都心に近い樹木葬霊園は申込が殺到し、高倍率の区画です。従って樹木葬に関しても遠方に墓地を求めることが多くなってしまいます。基本的に一人もしくは夫婦一組につき一区画であるため、価格は納骨堂を大きく上回ります。
都会の集合住宅に暮らしている人にとって、納骨堂は抵抗なく利用できる施設です。駅近でひんぱんにお参りできるとなれば、故人も喜んでくれることでしょう。遺族の負担を考え、終活ノートに納骨堂での供養を書き残す人がいます。何よりも残された遺族が一番楽な方法を選びたい、そんな亡き人の思いは大切に活かされなくてはなりません。遺族にとって一番楽な方法が、故人にとって一番嬉しい供養に他ならないのです。